発売当初から良い評判がやけにTwitterで話題になっていたので、紙媒体版を購入してみました。
この本のキーワードは「納品のない受託開発」。
よくあるシステム開発のビジネスモデルで多くの方が疑問に思うであろう点を筆者が運営する会社がその解消を目指して工夫をしつつ実践したビジネスモデル。
簡単に言えば、顧客と相談しながらビジネスプランに沿った流れに合わせて優先順位を決めながら少しずつ長い期間をかけて月額制にして、開発はアジャイルを用いてスピード重視で収益を得る形。これにより必要以上の経費がかからずに必要ない機能追加が少ないことや不満への即時対応という点で顧客の満足度は高いものになる。そして開発会社もある程度決まった固定客と利益を得ることができるというWin-Winの関係を築くことができると謳っている。
本書では、そのビジネスモデルを確立するにあたって苦労した点や経験した内容をまじえつつ、説明されていきます。自分も見てきたシステム開発が比較的大きめで問題を感じていたので、かなり興味深く読み進めました。ですが半分ほどかけてあかれた説明で十分伝わった内容が、実際のクライアントの経験として「納品のない受託開発」になぞった内容が続くため、「もうわかったよ・・・」と感じるようになってきます。結局半分ほどの内容の濃さがずっと続けばかなりの満足度を得ることができたとは思いますが、冗長な内容が続いたことで当初抱いていた”いい本”という認識は徐々に薄まってしまいました。
ある程度規模の小さいビジネスモデルに対する答えとしては十分ありですし、実際に懇意のフリーランスとクライアントの関係では他でも実践されているのではないのかなと思える内容ではありますが、それを会社規模でやろうとしているのは目新しいのかもしれません。システム開発で疑問を感じながら仕事に従事している方には目から鱗の内容で憧れる面もあると思います。ただし求められている能力が違うので、自分が向いているどうかの見極めも必要かと。
本書はシステム開発ビジネスモデルに疑問を感じていながらどうしたらいいかわからないクライアントや開発会社の方々にはひとつの方法や目標となる可能性があり、有用な本と言えます。ですが内容は半分ほどで十分なため、個人的には安価な電子書籍版ならばおすすめです。
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